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東京高等裁判所 昭和60年(行コ)102号 判決 1986年7月16日

控訴人(原告) 関本淑子 外一名

被控訴人(被告) 東京都中央区建築主事 東京都中央区建築審査会

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  控訴人ら

(主位的請求)

原判決を取り消し、本件を東京地方裁判所に差し戻す。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

(予備的請求)

(一) 原判決を取り消す。

(二)(1) 第一次的請求

被控訴人東京都中央区建築主事が紀州鉄道株式会社の申請に基づき昭和五六年一〇月一三日付第二五九号をもつてなした原判決添付別紙物件目録(二)記載の共同住宅の共用部分及び専有部分についての共同住宅からホテルへの用途変更処分を取り消す。

(2) 第二次的請求

被控訴人東京都中央区建築主事が紀州鉄道株式会社の申請に基づき昭和五六年一〇月一三日付第二五九号をもつてなした同目録(二)記載の共同住宅の共用部分についての共同住宅からホテルへの用途変更処分を取り消す。

(三) 被控訴人東京都中央区建築審査会が昭和五八年七月一八日付第一号をもつてなした控訴人らの審査請求を却下する旨の裁決を取り消す。

(四) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

2  被控訴人ら

控訴棄却。

二  当事者の事実上の主張及び証拠の提出、援用、認否は、原判決事実摘示(ただし、原判決書八枚目表一一行目中「され」の下に「、また保健衛生面においてもより悪影響を受け」を加える。)及び当審における本件記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人らの本件訴えは不適法としてこれを却下すべきものと判断する。その理由は、次につけ加えるほか、原判決理由説示のとおりであるから、ここにこれを引用する。

原判決書一九枚目表三行目中「二項」を「一項。以下この命令を「違反是正命令」という。」に改め、同二一枚目表二行目中「よれば、」の下に「本件用途変更申請は既存の共同住宅の一部をホテル用に用途変更することを目的とするものであつて、その対象は、訴外会社の専有部分である本件建物三階の居室一三室のほか共用部分である地下室、一階管理人室、食堂及び喫茶室、地下一階から地上九階までの階段、各階廊下並びに塔屋(エレベーター機械室と階段室)、延べ面積八六〇・七六六平方メートルであるが、建築基準法施行令一二六条の四で設置が義務付けられている非常用照明は、同令にいう居室に当らない地下機械室、洗濯室、並びに共同住宅建物の建築時に既にこれが設備済みである廊下、階段等には設置不要であるとして、」を加え、同四行目中「する」を「してなされた」に改め、同行中「同工事は、」の下に「その設置された非常用照明装置が建築関係法令に適合した構造並びに基準にしたがつた施工が行われて、」を、同裏四行目の次に行を改めて「一階の管理人室及び喫茶室は、前掲各証拠によると、建築基準法施行令一一六条の二第一項一号に該当する窓その他の開口部を有する居室であるとともに、いずれも避難階である一階に存在し、居室の各部分から出口までの距離が三〇メートル以下であり、かつ、避難上支障がないものと認められるから、建築基準法三八条とこれを受けて定められた建設省昭和四七年一月一三日告示第三四号(成立に争いのない乙第六号証)による指定に基づき、右施行令一二六条の五の規定に適合する非常用の照明装置を設けた居室等と同等以上の効力があるものと認められ、これらについては非常用照明装置の設置は不要である。」を加え、同二二枚目表六行目中「があつても」を「の有無につき判断するまでもなく」に改める。

二  したがつて、控訴人らの本件訴えは、訴えの利益を欠き、不適法却下を免れないところ、これと同旨の原判決は相当であるから、これが取消しを求める本件控訴は理由がない。

三  よつて、本件控訴を棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 舘忠彦 牧山市治 赤塚信雄)

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